突然の訃報を約2か月前に聞いた。
2020年5月27日、東雲勇太監督が心筋梗塞で亡くなったそうだ。
まだまだ若かったのに・・・
東雲勇太監督は20年以上前から独特の世界観で鼻責めの映像作品を造り続け、
ここ数年はシネマジックやヒロイン特撮AVエーカーGIGAで活躍されていた。
追悼の気持ちを込めてブログを書こうと思ったが少々迷っていた。
東雲監督は他の名前でも有名メーカーで監督をされていたので、如何なものかと考えたからだ。
にもかかわらず「書こう」と考えたのは、1人のファンの方から、
「東雲氏の初期作品のバックナンバーの在庫はないのか」という問い合わせを受けたからだ。
「その当時は未成年で購入できなかった」から、バックナンバーがあるのなら購入したいとの問い合わせ。
業界の人間なら東雲監督が亡くなったことを知っているかもしれないが、殆どの一般のファンの方は知らないだろう。
来月、大手メーカー(シネマジック)からのリリースがたぶん最後の作品になるのではないか。
何か月も東雲作品が発売されないことにファンの方は不思議に思うだろう。
しかし、悲しいことに1年後には忘れられているのがアダルト業界の常だ。
「エピキュリアンと東雲監督の関係」と「その後の彼の偉大なる功績」を文章に残しておきたい。
「SMグッズのエピキュリアン」は2002年頃個人事業として活動開始した。
その頃、東雲勇太氏は「レイブンフェイス」というホームページを既に運営していて
自称「日本一の鼻責め研究者」として活躍しておられた。この「自称」というのは当時、東雲氏が自ら使用していた言葉だ。
ビデオ販売の他のホームページのメインコンテンツは掲示板であった。色々な方が毎日のように「鼻責め」について熱く語っていた。
ちなみに2002年は東京株式市場がバブル後の最安値8.600円台を記録した年である。
東雲氏はすでにその当時「鼻責め鼻フック」のオリジナルビデオ(当時はまだビデオが主流であった)を販売されていた。
その斬新な映像に興味を持った私は、早速相互リンクをして頂き、それがお付き合いの始まり。約18年前である。
SMグッズの販売を行っていた私は、映像を生業としている東雲氏を羨ましく感じた。
それと言うのも、「なんだか映像事業はお札を印刷しているようだ」と思ったからだ。
グッズは注文を頂く度に製作しなければならないが、映像は一度制作してしまえばあとはテープに収録するだけで(当時はビデオが主流)楽そうに見えたのである。
実際、当時のインディーズメーカーの中には自社ビルを建てたという猛者もいた。
上記は18年前の話で、現在は苦戦を強いられているメーカーも多いと聞く。
2004年、私は東雲勇太氏に監督をお願いした。東雲氏のお陰で記念すべきエピキュリアンオリジナルビデオ第1号が誕生した。
「プレイノーズバー ~3人の美しき鼻露バーテンダーたち~」である。
当時、インディーズビデオは300本売れればヒット作という見方もあった。
この作品は都内のセル店3~4店舗とエピキュリアンの通販しか販路がなかったのだが大ヒットした。
東雲監督のお陰である。
画像は当時を偲んでビデオだが現在販売している製品はDVD。
その後のエピキュリアンの映像作品に東雲氏は関わっていないが、メルマガの原稿等でお世話になり、レイブンプロダクト(東雲氏の個人レーベル)のDVDを販売させて頂いたりしていた。
その頃からSM雑誌への寄稿や大手メーカーの助監督などで活躍し始めた。
東雲氏は鼻フックの自作は勿論のこと、自分でもマスクを改造したりする。にもかかわらず、エピキュリアンでグッズを購入して使用して頂いたりもしていた。
それから数年して「シネマジック」や「特撮ヒロインAVメーカーGIGA」(監督名六機 崇 むつきたかし)で監督を務め、コアなファン層に大人気を博した。
シネマジックのホームページ内の作品リストのページでフリーワード検索「東雲」で検索すると113作品が見つかった。
新着順の一番最後の(一番古い)作品は2008年の「恥辱の女潜入捜査官」であった。
特撮ヒロインAVメーカーGIGAでは監督ブログ(六機 崇)でファンに向けてGIGAスタッフが訃報を伝えている。
東雲勇太 監督名六機 崇(むつきたかし) GIGAでの最新作
エピキュリアンのメルマガでの東雲氏の記事は全部で9回。
東雲氏が、ご自分が監督した最新作品の見どころを解説すると共に現場で自ら写メを数枚撮影し、メーカーより早く期間限定で公開するという企画。
その中で私が気に入っている寄稿をご紹介する。約11年前の記事の冒頭だ。
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「さて本日は作品紹介の前に『映像のウソ』というものについてお鼻しをいたしましょう。
先日、とあるサイトにこんな書き込みを見つけまして、『東雲作品に出てきた〇〇嬢は感じている時に言う事がエロ過ぎる!あれは天性のマゾ女に違いないッ!』・・・と。
ええ~、こんなことを申してよいものかどうか・・・ウソです。ええ、ぜ~んぶウソ。
あたしの映像作品に共通して言える事。それは【女優のセリフは99%セリフである】という点(ガ~ン)。
『んあああッ!鼻が・・・私のお鼻がめっくれるぅぅぅッ!!』なんてぇのはまさにこのマンマ、セリフとして台本に載っておるワケでございまして。
マアまあ映像であり、娯楽作品でありますのでネ、ありきたりなセリフを言わすよりはS男爵様方の喜ぶセリフを言った方が面白かったりするもんデス。
・・・信じてた方、ゴメンちゃ~い♪。
2009年10月10日
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販売していたレイブンプロダクト時代のDVDは全て売り切ってしまい、結局、私の手元には画像のビデオが残っているだけである。
「女鼻疼S」メビウス・・東雲監督らしいネーミング。
「メビウスの輪」は永遠を表す。 東雲勇太さん安らかにお眠りください。そして東雲作品よ永遠に!
レイブンプロダクト当時の作品の在庫は一切ございません。2013年に「タイト」というメーカーから発売された東雲監督の撮り下ろし作品のみ取扱中です。